ー現在、稽古順1番〜20番までー
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とある親が子に"いろは歌"を用いて言葉を教えようとするが、子が必要のない事まで真似をして一喝をされる。子もそれに負けじと反撃をし自分の部屋へ帰っていくのでした。
大藏流狂言のお稽古はこの曲から始まりますが、稽古をする上で大切な、師匠の真似をする「鸚鵡返し」が題材となっています。子供の素直な心と親子のかけひきが見所です。中世の識字教育の一端をうかがわせる曲で、かわいらしく狂言らしい仕上がりになっています。
春になり四方山(あちこち)の花が満開になったので花見に出掛けようと提案をするご主人様に、太郎冠者は「他所の花をみるより私の鼻をみてはいかがか」と戯れ出します。ご主人様は【花】といえば【桜】の事だと言いますが、冠者は「桜ならば桜と言えば良いのに、古歌(和歌)にも桜は桜と詠んでいて、花とは詠んでいません」と反論します。冠者は桜を題材に、主人は花を題材にそれぞれ古歌を思いだしての歌合戦に発展しますが、桜の歌が思いつかなくなってしまった太郎冠者は謡(うたい)での勝負にきりかえて、最後は「【桜】かざしの袖ふれて 【花】見車くるるより(能小塩)」という、桜と花の語が両方でてくる謡をうたってしまい、やりこめられてしまいます。
雑談が弾んでいる賑やかな様子を表す慣用句に『四方山(よもやま)話に花が咲く』とありますが、ご主人様と冠者の主従関係の雑談にほのぼのとします。
主人が太郎冠者に、今晩お客が来るので和泉の堺へ行き肴物を買ってくるように使いを頼みます。しかし太郎冠者は行くのが面倒臭いのでどうしようと考えた結果、持病に"しびり"があると言い使いを断ります。それを聞いた主人は負けじと策を立てますが…
主人のお供をして茶の湯(茶道)に向かう太郎冠者。道中、川に出くわします。主人を背負って川を渡るよう言われた太郎冠者は、持病に"アカギレ"があり水に浸かることが出来ないと断ります。仕方なく主人は"アカギレ"を題に歌を詠む事ができれば背負ってやろうと提案されますが、太郎冠者は歌を難なく読み上げ主人に背負って貰うことに。川の中でも一首詠む様に言われ、それにも応えて結局「主人が下人を背負っていることはあり得ない」と言われ、川に落とされるのでした。
主人のお供をして西の宮へ出かけた太郎冠者。途中、神崎の渡しで、船頭に「ふなやーい」と声をかけます。それを聞いた主人は「ふね」と呼ぶように言いますが、太郎冠者は古歌では「ふな」だと反論します。主人も古歌を使って返すのだが、太郎冠者は次々と古歌で返していく。そこで主人は謡「三井寺」の一節で詰めようとするが…
昨晩の宴会の帰りに、ご主人様からお土産の“三つ成の柑子”を預かった太郎冠者ですが、自分にくれたと勘違いして全部食べてしまいました。
翌朝ご主人様から、預けた柑子を出すように言われます。柑子を食べてしまった言い訳を次々と語り、果ては俊寛僧都の“鹿ヶ谷の陰謀”の逸話まで持ち出します。
都でお地蔵を作ってくれる仏師を探して歩き回る金津の里(福井県あわら市)の者に、目をつけた素波(詐欺師)は、自分が仏師だと嘘を吐き、地蔵を作ると約束します。
素波は自分の子供を地蔵に見立て、必ず動いたり話したりしないように…夜に迎えに行くから…と言いつけます。
さてさて、素波の子扮するお地蔵様を見た金津の里の者は、殊勝な地蔵を作ってもらったと喜び、里に持ち帰りました。
里の人々に披露を済ませ、香花を捧げたところ、お地蔵様が「香花は嫌!饅頭が欲しい!古酒が欲しい!」と言い出します。
里の人々は驚きながらも、饅頭と古酒を捧げお地蔵様を囲み賑やかな宴会となるのでした。
お供を連れずに都へ行く大名。自分で太刀を持っているので、都へ商売に行く昆布売に声をかけ無理やり太刀を持たせます。
これに腹を立てた昆布売は、持たせられた太刀を使って大名を脅し、代わりに昆布を売れと言い、大名は仕方なく昆布を売ることになります。
いつも兄に"舎弟"と呼ばれる弟。疑問に思った弟は物知りな知人にこの事の意味を聞きに行きます。すると知人に"舎弟とは盗人の事だ"と言われ、弟は腹を立てて兄の所へ行き兄弟喧嘩となり… 。
修行帰りで喉が渇いた山伏。道中で柿の木を見つけ、その柿を食べ始めます。しかし、見回りに来た畑の主に見つかってしまい、山伏は柿の木の影に隠れることになります。隠れた山伏を見て、虐めてやろうと思った畑の主は、隠れた者を烏だの猿だのと言い出します。山伏は仕方なく、動物の鳴き真似や仕草をして、その場を乗り切ろうとします。
今日は初寅の日なので、鞍馬寺へ参詣に行く主人と太郎冠者。この日の夜、太郎冠者は多聞天(毘沙門天)から福をもらう夢を見ました。翌日、もらったことを主人に報告しますが、主人からその福を私へ渡せと言われます。太郎冠者は、どうせ渡すならからかって渡そうとするのでした。
お茶会をひらくので、主人から野中の清水へ行き、桶に水を汲んでこいと言われた太郎冠者。しかし、このことを面倒に思っていた太郎冠者は、清水に鬼が出てきたので、桶を鬼に投げてなんとか逃げてきた、と嘘を言いました。しかし、桶が惜しい主人は清水へ行ってしまいます。太郎冠者は嘘が気づかれてはいけないと思い、お面を使って鬼に化けることにしました。
信心深い田舎の者が仏像を求めに都へ登ります。そこへ目をつけた都の詐欺師は自分を仏師と偽り、明日までに仏像を作って渡すと約束をします。翌日、詐欺師は自ら仏像に変装するという大胆な行動で、田舎者を騙そうとするのですが、注文の多い田舎者に苦戦することになります。
男が友人を誘って野遊山(ピクニック)に出かけました。野原に到着した二人は足元にたくさん芽をだした土筆をお土産に摘んで戻ることにしますが、首を傾げるように曲がっている"つくし"を見つけ歌を詠みます。「つくづくしの首、萎れてぐんなり」---字が足りないと笑われてしまいますが、友人同士の戯れ合いを描いていて、2人のやり取りにクスッと笑えるような物語になっています。
お寺の新発意(若いお坊さん)が、檀家の誘いでお茶会に行くことになりました。しかし新発意は、道中の小さな川を飛び越えることができず、ずぶ濡れになってしまいます。この様子を檀家に"濡れ鼠"と笑われてしまい、腹を立てた新発意は、この間の相撲での、檀家のカッコ悪い様子を暴露しはじめます。
盆山好きの男が、盆山を沢山持っているお屋敷に盗みに入ります。持参したノコギリで裏口の垣根を切り、座敷に侵入成功。盆山を物色していると、気配に気づいた家主に見つかってしまいます。男は慌てて盆山の陰へ隠れますが、家主になぶられてしまいます。「犬じゃ」「猿じゃ」と言われ、鳴き真似で乗り越えようとする男、ついには「鯛じゃ」と言われてしまい…。
若い僧侶の重喜は、師匠である住持から頭を剃るように命じられます。
住持から「弟子は師の影を踏んではならない」と教えられた重喜は、師匠の影を踏まぬよう、剃刀を長い竹の先に括り付け、遠くから師匠の頭を剃りますが…。
ある人からお酒をもらったご主人様に、一緒にお酒を飲んでくれるような面白い人を探してこいと言われた太郎冠者。無事に人を連れてきましたが、連れてきた人は酒癖が悪い事で有名な人でした。しかし、連れてきてしまった以上、仕方なくもてなすことになります。
ある有徳人が、僧と料理人を雇おうと高札を立てたところ、僧になったばかりの元料理人の惣八と、料理人になったばかりの元僧侶が訪れ雇われる事になりました。
二人には、日々読み上げる経典と本日の料理に使う魚がそれぞれ渡されましたが、惣八は経典が読めず、料理人は魚の捌き方が分かりません。
そこで二人は仕事を交換し、料理人が経典を読み始め、僧の惣八が料理をし始めます。
道具の品評会に鎧を出したいのだが所有していないので、太郎冠者に都へ行って求めてくる様に命じます。都へ着くと太郎冠者は大事な事に気づきます。鎧という物はどの様な物なのか分からずに来てしまったのです。困った太郎冠者が"鎧買おう"と歩き回ってるところに、詐欺師がやって来て声をかけられ、鎧が何か分からない太郎冠者に何ともない紙を売り付けられます。無事に鎧を手に入れたと思い込み主人に見せるのだが…